学校感染症
出席停止となる学校感染症と出席停止期間
第1種
-
●エボラ出血熱
●クリミア・コンゴ出血熱
●痘そう
●南米出血熱
●ペスト
●マールブルグ病
●ラッサ熱、急性灰白髓炎
●ジフテリア
●重症急性呼吸器症候群 (SARSコロナウィルスによるものに限る)
●鳥インフルエンザ
(病原体がインフルエンザウィルスA属インフルエンザAウィルスであってその血清亜型がH5N1であるものに限る)
(病原体がインフルエンザウィルスA属インフルエンザAウィルスであってその血清亜型がH7N9であるものに限る) -
<出席停止期間>
治癒するまで
※上記以外に、「感染症の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」第六条第七項から第九項までに規定する「新型インフルエンザ等感染症」、「指定感染症」及び「新感染症」は、第1種の感染症とみなす。
第2種
- ●インフルエンザ (鳥インフルエンザ(H5N1)を除く)
-
<出席停止期間>
発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日(幼児にあっては、3日)を経過するまで
- ●百日咳
-
<出席停止期間>
特有の咳が消失するまで又は5日間の適正な抗菌性物質製剤による治療が終了するまで
- ●麻疹 (はしか)
-
<出席停止期間>
解熱後3日を経過するまで
- ●麻疹流行性耳下腺炎(おたふくかぜ)
-
<出席停止期間>
耳下腺、顎下腺又は舌下腺の腫脹が発現した後5日を経過し、かつ、全身状態が良好になるまで
- ●風疹 (3日はしか)
-
<出席停止期間>
発疹が消失するまで
- ●水痘 (水ぼうそう)
-
<出席停止期間>
すべての発しんが痂皮化するまで
- ●咽頭結膜炎 (プール熱)
-
<出席停止期間>
主要症状が消退した後、2日を経過するまで
- ●結核
-
<出席停止期間>
症状により学校医等において感染のおそれがないと認めるまで
- ●髄膜炎菌性髄膜炎
-
<出席停止期間>
症状により学校医等において感染のおそれがないと認めるまで
第3種
- ●コレラ、細菌性赤痢、腸管出血性大腸菌感染症、腸チフス、パラチフス、流行性角結膜炎、急性出血性結膜炎
※その他の感染症 -
<出席停止期間>
症状により学校医等において感染のおそれがないと認めるまで
その他の感染症
第三種の感染症に分類されている「その他の感染症」は、前述の第二種並びに第三種の感染症と同じ様に、学校で流行が起こった場合にその流行を防ぐため、必要があれば、校長が学校医の意見を聞き、第三種の感染症としての措置を講じることができる疾患である。そのような疾患は多数あるがここでは子どもに多くみられる感染症であって、学校でしばしば流行する感染症を(1)条件によっては出席停止の措置が必要と考えられる感染症と(2)通常出席停止の措置は必要でないと考えられる感染症に分けて例示する。
「その他の感染症」について、出席停止の指示をするかどうかは、感染症の種類や各地域、学校における感染症の発生・流行の態様等を考慮の上判断する必要がある。そのため、次に示した感染症はあくまで例示であって具体的には病状などにより医師の指示に従うことが必要である。 なお、隣接する学校・地域によって取扱いが異なることによる混乱を防ぐため、都道府県、郡市区単位など教育委員会や医師会などが統一的な基準を定めている例もある。
「その他の感染症」について、出席停止の指示をするかどうかは、感染症の種類や各地域、学校における感染症の発生・流行の態様等を考慮の上判断する必要がある。そのため、次に示した感染症はあくまで例示であって具体的には病状などにより医師の指示に従うことが必要である。 なお、隣接する学校・地域によって取扱いが異なることによる混乱を防ぐため、都道府県、郡市区単位など教育委員会や医師会などが統一的な基準を定めている例もある。
条件によっては出席停止の措置が必要と考えられる感染症の例
手足口病
口腔粘膜及び四肢末端に水泡を生じる発疹性疾患である。我が国でも昭和40年代前半から流行に気付かれ始めた小児の感染症である。
- 病原体
- 主としてコクサッキーウィルスA16型とエンテロウィルス71型である。
- 潜伏期間
- 2日~7日。
- 感染経路
- 主として飛沫感染である。ウィルスは糞便中に排泄されるので経口感染も起こり得る。
- 発生時期
- 春から夏にかけて多く、流行のピークは毎年7月ころである。
- 症状
- 発熱、口腔・咽頭粘膜に痛みを伴う水疱、流涎と手、足末端や臀部の発疹、水疱がみられる。手足の水疱は比較的深いところに生じるので、水疱と異なり表皮が破れたり痂皮になったりすることなく消退する。発熱は38℃以下が多い。ふつう1~3日で解熱する。一般的には夏かぜの一つと言える軽症疾患である。時に無菌性髄膜炎を認めることがある。なお、最近、脳症を伴う重症例が報告されている。
- 罹患年齢
- 乳幼児に多い。原因となる病原ウィルスが複数あるため、再発することもある。
- 治療方法
- 対症療法である。
- 予防方法
- 一般的な予防の心がけしかない。
- 登校基準
-
急性期から回復後も糞便から2~4週間にわたってウィルスが排泄されることがあるが、集団内での他人への主たる感染経路は、咽頭でのウィルスの増殖期間中の飛沫感染であり、発熱や咽頭・口腔の水疱・潰瘍を伴う急性期は感染源となる。
糞便のみからウィルスが排泄されている程度の場合は、感染力は強くないと判断されるので、全身症状の安定した者については、一般的な予防方法の励行などを行えば登校は可能である。
伝染性紅斑
かぜ様症状を認めた後に顔面、頬部に少しもり上がった紅斑がみられる疾患である。その状態からリンゴ病とも呼ばれている。
- 病原体
- パルボウイルスB19
- 潜伏期間
- 感染後17~18日で特有の発疹を認める。ウィルスの排泄期間は発疹の出現する1~2週間前の数日間といわれる。
- 感染経路
- 主として飛沫感染である。ウィルス血症の期間の輸血による感染の報告もある。
- 症状
-
かぜ様症状と引き続きみられる顔面の特徴的な紅斑である。発疹は顔面頬部のびまん性紅斑と四肢伸側にレース状、網目状紅斑が出現する。一旦消失して再び発疹が2~3週間後に出現することもある。掻痒感を訴えることもある。
合併症として溶血性貧血、血小板減少性紫斑病や関節炎を起こすことがある。また妊婦の罹患により胎児死亡(胎児水腫)が起こることがあるので注意を要する。 - 罹患年齢
- 子どもに多い。小学校で流行することが多い。
- 治療方法
- 対症療法である。通常は治療を必要としない。
- 予防方法
- 感染力は弱く、発疹期にはウィルス排泄はないと考えられるので、飛沫感染としての一般的な予防法が大切である。
- 登校基準
- 発疹期には感染力はほとんど消失していると考えられるので、発疹のみで全身状態のよい者は登校可能と考えられる。ただし急性期には症状の変化に注意しておく必要がある。
溶連菌感染症
溶血性レンサ球菌が原因となる感染症の中でA群β溶血性連鎖球菌によるものをいう。
扁桃炎など上気道感染症、皮膚感染症(伝染性膿痂疹の項を参照)、猩紅熱などが主な疾患である。特に注意すべき点は、本症が多彩な病像を呈すること、合併症としてリウマチ熱、腎炎を呈することがあることである。そのため、全身症状が強いときは安静を守らせ、経過を観察する必要がある。さらに最近、急速に進行する敗血性ショック、多臓器不全症状を呈する激症型A群β溶血性連鎖球菌感染症が注目されている。
扁桃炎など上気道感染症、皮膚感染症(伝染性膿痂疹の項を参照)、猩紅熱などが主な疾患である。特に注意すべき点は、本症が多彩な病像を呈すること、合併症としてリウマチ熱、腎炎を呈することがあることである。そのため、全身症状が強いときは安静を守らせ、経過を観察する必要がある。さらに最近、急速に進行する敗血性ショック、多臓器不全症状を呈する激症型A群β溶血性連鎖球菌感染症が注目されている。
- 病原体
- A群β溶血性レンサ球菌
- 潜伏期間
- 一般に2~4日。猩紅熱は1~7日。
- 感染経路
- 飛沫感染である。飲食物による経口感染の報告もある。
- 症状
- 上気道感染では発熱、咽頭の発赤、腫脹、疼痛、扁桃の腫脹、化膿など、咽頭炎、扁桃炎の症状が主である。猩紅熱は5~10歳ころに多く、発熱、咽頭炎、扁桃炎とともに苺舌と菌が産出する外毒素による発疹を認める。全身に鮮紅色、小丘疹が認められる。消退後に落屑や表皮剥離がある。皮膚感染症は膿痂疹で水疱から始まり、膿痂疱皮へと進む。
- 罹患年齢
- 子どもに多くみられるが、成人が感染する機会も多い。
- 治療方法
- ペニシリン製剤が第一選択である。上気道炎、猩紅熱の場合、咽頭培養により溶連菌を確認したらペニシリン系の抗菌剤を通常10日間投与する。
- 予防方法
- 特に有効な方法はない。手洗い、うがいなどの一般的な予防方法の励行のほか、必要があれば早期に細菌培養・同定を行い、ペニシリン製剤による予防的治療を行う。
- 登校基準
- 適切な抗生剤治療が行われていれば、ほとんどの場合24時間以内に他人への伝染を防げる程度に病原菌を抑制できるので、抗生剤治療開始後24時間を経て全身状態がよければ、登校は可能である。