岐阜県医師会健康管理クリニック(開設者:岩砂和雄県医師会長) 岐阜県医師会心電図解析委員会(委員長:馬渕) 岐阜県医師会学校心臓検診委員会(委員長:馬渕) |
[事業目的] |
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岐阜県の小、中、高等学校において心電図検診を中心とした心臓検診を実施することにより、児童・生徒の心臓病の早期発見や突然死予防を図る。 |
[沿革] |
・昭和51年4月、岐阜県医師会館の新築移転に伴う県民健康管理センタ−構想として県内の生徒、児童における集団心電図検診の計画が持ち上がる。 |
・昭和52年12月20日に日本船舶振興会等からの補助金を元に、「フクダECP-100」の本体および端末が県医師会館に設置される。 |
・ 昭和53年1月21日武見太郎日本医師会長等の来賓出席のもとに県医師会館の竣工式が行われ、心電図自動解析システムも稼動を開始。岐阜県医師会心電図解析委員会(伊藤亨委員長)が組織される。 |
・同年4月、第1回の心電図解析委員会を開催し、53年度の児童・生徒の心電図検診事業をスタ−ト。初年度は高校生2万名を中心に、小・中学生4千名の検診も実施。 |
・その後小学4年(または1年)、中学1年、高校1年の各学校1学年づつ、県下99市町村のうち90以上で心電図検診を実施するまでになり、平成元年、2年には受診者(1次検診)は年間9万人を越える。 |
・平成4年から新たに組織された学校心臓検診委員会により、一部のモデル地区(美濃加茂市等)における一次検診異常の小学1年生を対象として、心エコ−を用いた専門医による二次検診が始まる |
・平成5年から小学校1年、4年、中学1年、高校1年の3年間隔で検診を実施する体制を整える。この措置により、平成5年、6年には年間10万人を越えた。 |
・平成6年からは文部省通達により、小中高校における心電図検診の実施が義務化された。その後は児童、生徒の減少傾向などにより年間10万人弱の1次検診受診者数で推移している。 |
・平成7年より、美濃加茂市、各務原市、羽島郡、揖斐郡、西濃地区に加えて岐阜市においても専門医による心臓二次検診が始まる。 |
[検診システムについて] |
本県の心電図解析システムはスタ−ト時点のフクダ電子製ECP-100型から昭和62年には「フクダ電子製FCP-1000」、そしてさらに平成6年には「同社製FCP-850型」へとシステムを更新した。これはこの間の検診受診者の増加に対応し、また解析のスピ−ドアップ、診断精度の向上を目的としたものである。 |
またこのシステムの変更に伴い外部デ−タファイリング方式も当初の磁気テ−プから磁気ディスクそして現在では光ディスクへと、次第に大容量で、アクセスの容易な媒体に変遷を遂げた。 |
心電図検診は1次検診として省略4誘導を行い、1次で有所見であった者には2次検診として標準12誘導心電図が実施される。各学校毎に記録された心電図はフロッピ−に入力され、県医師会館5Fの心電図解析室で解析システムにかけて自動診断される。この自動診断され、プリントアウトされた膨大な数の心電図は、検査技師のチェックを経て各地区(岐阜、西濃、中濃、東濃、飛騨の5地区)毎の心電図解析委員(平成9年4月現在で合計84名)に届けられ、医師による診断を受けた後、学校宛に報告されている。 |
また平成4年からは学校心臓検診委員会が一部のモデル地区について、1次検診有所見者について心エコ−等を用いた専門医による2次検診を実施している。 |
[研究活動] |
県医師会の心電図解析委員会は当初から岐阜県学校保健会の心腎対策委員会と歩調を合わせ、児童、生徒の心臓病の早期発見や心突然死予防に関する研究を行ってきた。そしてさらにこの研究活動を促進することや心電図以外の心エコ−等を検診へ導入することなどを目的として、平成3年に県医師会に学校心臓検診委員会が設立された。現在では、県医師会において心電図解析委員会と学校心臓検診委員会が両輪となって学校心臓検診に関する活動を行っている。 |
主な研究としては、「水中心電図の研究」、「登山時のホルタ−心電図」、「心エコ−による心臓二次検診」、「川崎病の心臓後遺症」などがあり、これらの業績は日本循環器学会総会、日本小児科学会、日本小児循環器学会、若年者心疾患対策協議会総会等で発表され、論文になっている。 また昭和57年および平成6年の2回、岐阜県医師会が主催し、岐阜市で若年者心疾患対策協議会総会が開催された。 |
[表彰歴] |
・昭和58年10月28日 学校保健功労賞(文部大臣) ・昭和59年11月3日 学校保健功労賞(岐阜県知事) ・昭和61年11月3日 学校保健功労賞(文部大臣) ・平成3年11月1日 日本医師会最高優功賞(日本医師会長) ・平成4年5月24日 岐阜県医師会最高優功賞(岐阜県医師会長) |
(文責:河合直樹) |